周先生の健康講座5
前回、平均血圧について話しました。
細い血管の動脈硬化が進むと、平均動脈圧が上昇します。これに対して、脈圧は太い動脈硬化進行状況のバロメーターです。
脈圧とは、上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)の差を表した数値、例えば上の血圧が140mmHgで下が90mmHgの人の脈圧は50mmHgということになります。脈圧の正常値は35~45mmHgです。
高齢になるほど脈圧が大きくなる理由は、大動脈やその周辺の血管の動脈硬化に原因があると考えられています。
高齢者の場合は、加齢により動脈硬化が進むため上の血圧は高くなりますが、反対に下の血圧(拡張期血圧)は低くなる傾向にあるようです。年を経るにしたがって大きくなるので、高齢者になるほど心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくなることがわかっています。
心臓がギュッと縮んで血液が押し出されると、大動脈は膨れ上がって心臓から送り出された血液の一部がここに蓄えられ、再び心筋が拡張すると大動脈は収縮して中に蓄えられていた血液が再び全身に送り出されます。
しかしながら、高齢により動脈硬化が進すむと大動脈の弾力性が低下するため、大動脈の中にストックされる血液の量が減少し、収縮した時に多量の血液が瞬時に全身に流れてしまうので、結果として再度大動脈から供給される血液の量も減少してしまうことになります。
動脈硬化のほかにも、体内のナトリウム量の増加(塩の摂取過多)や交感神経の作用などが血圧を上げる要因になりますが、これらの複数の要因が微妙に作用しあいながら、心拍出量や末梢血管抵抗を徐々に増加させ、知らず知らずのうちに血圧が上昇していくのです。
「脈圧の数値が大きくなったら、太い大動脈まで硬化が進んでできた。」